唯一無二の彫り技術「ディープカット」——ハワイアンジュエリーに命を吹き込む日本の職人技

【はじめに】 こんにちは、ハワイアンジュエリーWAIOLIの橋爪隆宏です。
私は東京・上野にある創業70年の銭湯「燕湯(つばめゆ)」の三代目の次男として生まれ、長年家業を手伝いながら、日本の伝統的な彫金技術を学び、現在は和彫りを基盤にしたハワイアンジュエリーの制作に取り組んでいます。

今回のコラムでは、私が独自に追求し、現在日本国内では私のみが施せる技術である「ディープカット」について、技術的な視点と職人としての想いの両面から詳しくご紹介します。

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唯一無二の彫り技術「ディープカット」——ハワイアンジュエリーに命を吹き込む日本の職人技

1.ディープカットとは何か

「ディープカット」とは、ハワイアンジュエリーの彫り模様を、より深く、立体的に、力強く仕上げる彫金技術です。
通常の彫りでは表面を浅くなぞるように模様を刻みますが、ディープカットでは、1本のラインを彫るのに通常の5倍以上の時間をかけ、金属の奥深くまで刃物を入れていきます。

その結果、模様の陰影が際立ち、ジュエリーの表面に光が差し込んだとき、まるで命が吹き込まれたかのような輝きと奥行きが生まれます。
これこそが、ディープカット最大の特徴であり、機械では絶対に再現できない「手彫りの力」だと私は考えています。

2.技術的な特長

ディープカットを施すためには、まず使用する彫刻刀の選定から始まります。
市販の道具では深さが足りず、私は自ら刃物を鍛造し、角度や厚みに何度も改良を加えてきました。
刃先の微妙な調整ひとつで、彫りの表情はまったく変わってしまうため、毎朝、作業前には必ず砥石で研ぎ澄ますことが欠かせません。

また、金属の種類や硬さ、厚みによって彫りの感触も変わるため、1本のリングに対してどれだけの力で刃を入れるか、どの角度で刃を寝かせるかなど、五感をフル稼働させながら彫り進めていきます。

例えば、18金のように柔らかく粘りのある素材では、刃が金属に吸い込まれるように入っていきますが、それゆえに余計な傷をつけないよう細心の注意が必要です。
一方、プラチナのように硬い金属は力を入れすぎると刃が跳ね返るため、鋭く、しかし慎重な操作が求められます。

3.なぜ時間がかかるのか

ディープカットでは、一つひとつのラインを丁寧に彫り込むため、完成までに非常に時間がかかります。
例えば、幅8mmのリング1本に全体模様を施すのに、通常の彫りなら2〜3時間で終わるところを、ディープカットでは10時間以上かかることも珍しくありません。

しかし私は、この時間こそが作品の価値だと思っています。
手間を惜しまず、一本一本に想いを込めることで、機械加工では決して出せない味わいと、持ち主の方にとって一生ものとなる特別な輝きを宿すことができると信じています。

4.ディープカットが生まれた背景

私がこの技術を追求し始めたのは、日本の伝統的な和彫りとハワイアンジュエリーの融合を目指していた時期でした。
どちらにも深い文化的背景があり、表現としても非常に奥が深い。

しかし、従来のハワイアンジュエリーの彫りでは、日本の彫金技術で培ってきた立体感や線の美しさを十分に活かせないと感じていました。
そこで、和彫りの「深さ」「緻密さ」「流れ」をハワイアンのモチーフに落とし込むことで、より躍動感のあるジュエリーが生まれるのではないかと思い至ったのです。

その試行錯誤の中で、従来の倍以上の深さで彫ることで模様が驚くほど生き生きとし、まるで動き出すような表情を見せることに気づきました。
これが現在のディープカット技法の始まりです。

5.モチーフが変わる、意味が変わる

ディープカットによって彫られるモチーフ—
・ホヌ(海亀)
・マイレリーフ
・プルメリア
・波模様
などは、それぞれの意味や願いが一層力強く表現されます。
例えば、波模様なら、浅い彫りではただの装飾に見えるものが、深く刻むことで本物の波のようなうねりと躍動感が生まれます。

持ち主の方がどんな思いでそのモチーフを選んだのか。
その背景まで想像しながら彫ることで、より心に響くジュエリーが完成すると私は信じています。

6.ディープカットとシンプルの違い

こちらの写真では、「ディープカット」と通常の彫りによるハワイアンモチーフを比較しています。
左が一般的な彫り、右がディープカットで仕上げたものです。
上段はマイレモチーフ、下段はスクロールモチーフ。
見比べていただくと、同じデザインでも右側の彫りの方がより立体的で、模様に奥行きと力強さがあることがわかります。

この立体感は、ただ一度刃を入れただけで生まれるものではありません。
ディープカットでは、同じラインを何度も繰り返し丁寧に彫り込むことで、模様に深みと陰影を与えていきます。

しかしこの技法には、極めて高度な技術が求められます。
すでに彫ったラインの上を正確にトレースし続けなければ、線がずれてしまい、仕上がりが二重線となり美しさを損なってしまうからです。
わずかなブレも許されないため、職人の集中力と熟練の技が不可欠です。

ディープカットとは、まさに精度と表現力の結晶。
WAIOLIのジュエリーが、機械では再現できない唯一無二の輝きを放つ理由のひとつです。

7.ディープカットを選ぶということ

ハワイアンジュエリーは、単なる装飾品ではなく「想いを形にする」もの。
だからこそ、彫りの深さひとつにも意味があります。

ディープカットを選ぶということは、自分自身の想いや、大切な人への気持ちを、より強く、美しく、永く残したいという願いの表れではないでしょうか。

WAIOLIでは、フルオーダーメイドでリングやバングルを制作しており、素材・形状・幅・厚み・モチーフ・宝石・刻印まですべてお客様と一緒に決めていきます。
制作の過程では、その場で私が目の前でデザインを描きながら、ひとつひとつ形にしていきます。

そして、完成したジュエリーには、時間をかけて彫り上げたディープカットが施され、その方だけの物語が刻まれます。

8.おわりに

手間を惜しまず、時間をかけて、目の前の金属に向き合う。
ジュエリーづくりとは、私にとって「心と想いを形にする仕事」です。

ディープカットは、その象徴的な技術であり、WAIOLIの魂そのものでもあります。

ぜひ一度、工房に足を運んでいただき、実物をご覧ください。
その深さ、輝き、そして想いの重みを、きっと感じていただけるはずです。

この記事を書いた人

橋爪 隆宏Takahiro Hashizume

ハワイアンジュエリーの魅力に目覚め、独学で学びつつ、2012年に「Hawaiian Jewelry WAIOLI」を実家の銭湯の2階部分にオープン。翌年には本場ハワイで、ディープカットの技術を編み出したとされる現地トップブランドの技術者から直々にディープカットを学び、その技術を習得。現在、日本で唯一本場直伝のディープカットを施せる、エングレーバー(手彫り職人)。

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